-開催概要-
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目的
災害が起きた場合でも、在宅で生活する子どもとその家族への必要な医療が提供できるよう、非常時における多職種連携の重要性を理解する。
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日時
2022年1月23日(日)13:30~16:10
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参加者
52名(医師1名、看護師18名、薬剤師3名、福祉職9名、行政職9名、教員・教育関係者1名、当事者ご家族3名、その他8名)
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開催方法
オンライン(認定特定非営利活動法人うりずんから配信)
-研修内容-
-当日参加者の感想-
- 災害が多い昨今、有事の際には日頃からの繋がりがとても重要であると感じました。(看護師)
- 実際に起きた災害の事例は非常に勉強になりました。(薬剤師)
- 実際に停電時の対応や課題を聞くことができて、リアリティのある内容でした。YeLL図書館の内容がとても充実しているとのことなので、参考にしたいと思います。電源利用状況により、あらかじめ優先順位を付けていること、日頃からの備えが大切なのだと思いました。(相談支援専門員)
- ブラックアウトの話を聞き、非常用電源の重要性を改めて感じました。クリニックを拠点として貸し出す体制など、今後の参考にしていきたいと思います。(行政職)
- 実際の体験に基づいた貴重な話で、災害時の具体的なイメージができました。(教員)
-当日の様子-
-質疑応答-
Q1.停電時の電源確保について、事業所としてどの電源を確保したら良いでしょうか?
目的によって変わる。事業所の規模等にもよるが、事業所内の電源確保ということであれば発電機がよいのでは。
すぐに使用できる蓄電池も複数置いておくとなおよい。
Q2.家庭ではどの種類の非常電源が良いでしょうか?
患者さんにお貸しするのは1~2人で持ち運べて、バッテリーは半日くらい持つものがオススメ。
Q3.災害時の安否確認はどの機関が先導するのが良いでしょうか?
訪問看護ステーションが良いと考える。医学的判断が必要になるため、ヘルパーより医療者が行った方が良い。クリニックが全員の安否確認をするのは患者数が多い場合難しい。その点、自宅から近く、また行き慣れている訪問看護ステーションが最適では。
Q4.他機関への情報共有について土畠先生のところではどのような仕組みがありますか?
支援者同士での緊急時の連絡については課題の1つ。医療用SNSは内部使用のみで、外部とは使っていないのが現状。外部とのやりとりはICTシステムの中に外部の医療機関と情報共有する仕組みを追加して使っている。それ以外は電話連絡になってしまう。
Q5.一斉メールを送った場合、メールは機能していたのでしょうか?また、患者様さんと日常からSNSで繋がっていますか?
職員に対して出勤の可否を確認するセコムの安否確認メールがあり、それを在宅患者さんにも適応したところ、停電時でもそのメールは届いた。6割程度の患者さんから返信が届いたが、「安全です」「出勤可能です」というアクションを確認できるだけで、その後のやり取りには用いる事ができない。そのため電子カルテに連動した別のシステムで、患者さんとチャットのようにやり取りができるものを導入しようと考えている。なお、患者さんとのSNSの活用は課題。
Q6.災害時、電源確保のために自衛隊が動いてくれたような例があるか、ご存知の方がいらしたら教えてください。
自衛隊に動いてもらったということは当院では無かったが、自衛隊病院に避難入院を受け入れてもらったケースがあった。
Q7.国では福祉避難所への直接避難の体制整備を求めているようですが、詳しく教えてください。
普段通っている施設に直接行くことが可能であればその方が良い。自治体によって違うと思うが、近くにある避難所に避難するのが一番だと思う。
Q8.人工呼吸器使用のお子様用で家庭で用意するバッテリーは何ワットくらいのものが良いですか?
呼吸器によってワット数が異なる。北海道小児等在宅医療連携拠点事業YeLLホームページに詳細の記載がありますのでご覧ください。⇒とちまるキッズひろばの1/23研修会ページにリンクを掲載させていただきました。》こちら
Q9.映画「こんな夜更けにバナナかよ」の医療監修をされたとのことですが、裏話がありましたら教えてください。
「医療法人稲生会 Facebookページ投稿のまとめ」ぜひご覧ください。
Q10.災害時のSNSでの情報の判断と、発信者に気遣い「火消し」をするときの注意点について教えてください。
対策を決定する上で未確定のことに関しては、分からないと発信しながらも暫定的に決めていくしかない。「火消し」に関しては、間違った情報を共有していたとしても、それは不安だから共有するのだと思うので、共有した人を責めるのではなく現時点で分かっている正しい情報を全体に伝えていくことが大切。また、発信者にも連絡し、気持ちに寄り添いながら正しい情報を伝えた。
Q11.有事においては「連絡窓口を1つにして欲しい」という家族の思いはその通りと思います。災害時の連絡窓口を一本化されたケース、その窓口はどの機関が担われたのか等、具体的な事例がありましたら、教えてください。
訪問看護ステーションを窓口にするのが良いと思うが、複数の訪問看護を使っている方もいるため、それを一本化するというのは出来ていない。窓口を一本化するのが家族のニーズには合うのかもしれないが、その窓口となっている事業所が災害時に本当に動けるかどうかは分からない。それであれば、支援者同士で普段からやりとりできるチャネルを作っておき、災害時にも支援者同士で情報共有しフォローしていく方が良い場合もある。どちらが良いかはケースによると思う。
Q12.自宅や自院が被災(建物や什器・器機の損傷や人的被害)し、在宅の患者さんへの対応が難しい状況のシナリオは想定されていますか。
一番緊急性を要するのは建物が倒壊した時。電子カルテのサーバーが損傷してしまうと電子カルテが使えなくなる。しかし、電子カルテに連動したシステムで閲覧・コメントだけはできるものがあるためそれを使う。また、コロナ禍の影響で分散勤務となり、事務所にすべての人・リソースがあるわけではないため、患者情報もセキュリティーがかかった形でリモートにアクセスできるようになった。それが緊急時にも適応できると考えている。その他の問題に関してはまだ課題が残っている。
Q13.DMAT(災害派遣医療チーム )との役割分担についてのお考えがありましたら教えてください。
実際にはDMATと連携は出来ていない。EMIS(広域災害救急医療情報システム)に登録していなくても、自院と道都道府県庁とDMATとの連絡が取れていれば、DMATに要請できることが分かった。そのため、特に取り決めしていることはない。
Q14.災害時、病院へ避難された方は、いわゆる屋根貸し、電源貸しだったのでしょうか。家族も離れた完全看護のような入院だったのでしょうか。
病院では普通の入院だったが全例で家族が付き添い、ケアも家族が行っていた。
屋根貸しに関しては、保健所の他にも重症心身障がい児施設の玄関ホールを提供してくれたところもあった。ただコロナ禍においては出入りが厳しいため難しくなる。